プロの視点から注文住宅を選ぶ上で、聞くべき・見るべきポイントを解説!
今回は石川県の工務店であるフジタさんに取材協力いただき、家づくりにおいて会社で差が出やすい要素をお伝えしていきます。フジタさんが優れている会社かどうか、プロならではの切り口で差が出るポイントをみていきましょう。
こんにちは、住宅コンサルタントの別所です。
前編では、モデルハウス(住宅展示場)の見学でよくある失敗と、その失敗をしないためのコツを紹介しました。
▼前編はこちら▼
後編ではフジタさんに質問しながら、家づくりにおいて会社で差が出やすい要素5つから、私が切り込んでいきます。
それでは私といっしょに、「住宅会社として確認すべきポイント」をみていきましょう。
そもそも住宅展示場って予約は必要?どんなことをチェックすればいいんだっけ?という方には、こちらの記事がオススメ!
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目に見えない部分も見学で聞き出そう
モデルハウスでは見た目のデザインの好みだけでなく、目に見えない性能の部分のこだわりや、ホームページで公表していない部分を見学で聞きましょう。
会社として、建築にどれだけこだわっているか?を見極める5つのポイントを紹介します。
一般の方でも判断しやすいように解説も踏まえながら、フジタさんが建築にこだわっている会社かどうか? 斬っていきたいと思います!
会社として差が出やすい5つのポイント
施工レベル、意匠性、断熱性能、収納、現場の状況の5つから切り込んでいきます。
これはフジタさんだけでなく、どこの会社でも使えるポイントなので、しっかりメモしてぜひ使ってください。
施工レベルの見極め
家づくりに大事なポイントの施工レベルです。
ただし、一般の方が建築現場に行ったり、モデルハウスの状況を見て施工精度が高いか低いか?は判断できませんよね。
そこで聞いて頂きたいポイントは、気密測定をやっているかどうか?です。
元々、家の気密性能を測定する目的ですが、実際の施工精度に比例した数字が出てきます。
この気密測定を標準的に行っている会社かどうか?で、施工精度に自信を持っている会社かどうか?がある程度わかります。
フジタさんは気密測定はされているんですか?
モデルハウスでも注文住宅でも全棟で行っています。
気密測定を行った数値もお客様へ提示しております。
(第一関門クリアですね!)
標準仕様の有無と過去の施工事例での見極め
注文住宅なら、意匠性はこだわりたいポイントですよね。
2つ目で聞きたいポイントは、「標準仕様の有無と考え方」です。
多くの会社で「標準仕様」というベースになる仕様がありますが、それに縛られ過ぎる設定になっていると、コーディネートの幅も狭くなってしまいます。
前編でも、現場見学会やモデルハウスで「よく使っている仕様ではない部分」を聞くことをオススメしましたが、自由に選びたい場合、住宅会社側の ” 引出しの多さ ” にデザイン性が比例します。
設計士やコーディネーターが打合せに同席するのか?を確認しましょう。
また、多くの会社のホームページでは施工事例が掲載されており、フジタさんも施工事例が掲載されています。
これらの施工事例と、モデルハウスがあまりにも乖離しているようであれば、標準仕様への縛りが大きいのかな、と判断できるでしょう。
様々な素材を使っていますが、コーディネートはどうされているんですか?
設計士が同席し、細かい部分までアテンドしています。「よく使う素材や設備」はあっても、「標準仕様」に縛られることなく、幅広い選択肢を用意しています。
お施主様側が気づかない部分まで、こだわりが随所に見られますね。
この物件で言えば、例えば寝室の窓に隣接するところだけクロスの色を変えることで、窓と壁が一体化したような見せ方にしています。
一般的な建売や、大手のハウスメーカーでもここまで引出しが多い会社は少ないですね。
ありがとうございます。このモデルハウスも、スキップフロアと前面道路から照明が印象的に見えるような工夫や、坪庭もプライベート感を大事にできるよう、塀をしっかり作り込んでいます。
(意匠性のこだわりも徹底されています。なかなかツッコミどころが見つけられませんね…)
断熱性能は考えられた上の設計か
最近は高断熱が流行っており、多くの会社で「高断熱」「UA値」を訴求しています。
ただ実は、この断熱性能は闇雲に上げればいい訳ではありません。
断熱には超高断熱とパッシブという2つの大きな考え方がありますが、地域と目的に応じた「ちょうどいいレベル」があります。
石川県(金沢市周辺)は主に5~6地域と言って、全国的に見ると寒冷地ではありません。(雪は多少降りますが)
もっとも、断熱性能を上げていくと窓が少なくなったり、エネルギー消費量の観点からはリビングが小さくなったり、性能とデザインは両立しにくい側面があります。
高断熱も一定以上の快適性を追求したものなのか、光熱費を抑えるためなのか、高断熱にする目的を冷静に振り返りましょう。
このあさひ荘園モデルはリビングも吹き抜けで大きいですが、断熱や省エネはどのレベルになっていますか?
断熱性能も省エネ性能も、ZEH基準をクリアしています。
(意地悪質問)
最近は、もっと高い断熱性能を訴求している会社もありますよね?
石川県でも建築する場所にもよりますが、金沢を中心とする地域ではZEH基準で体感的にも、超高断熱にした時とほぼ差がないことが経済産業省のデータからも出ています。
温熱環境でもZEHを超えるレベルであれば、四季を通じて快適に過ごせるレベルにはなっており、コストを余計にかけてまで超高断熱にする必要はないと考えています。
もちろん寒がりな方や、白山市の一部など標高の高い場所に建築する方など、必要と判断すれば外張り断熱でHEAT20グレード程度までグレードアップできますが、コストと目的、そして得られる効果まで総合的に考えて提案しています。
詳しくは、こちらのブログでも紹介しています。
(断熱性能のことも適材適所でちゃんと分かっている…。客観的なデータも基に提案され全然斬れない…)
収納は使い方を考えられた設計か
4つ目ですが、奥様方の悩みで多いのは収納です。
「家事動線」や「収納計画」といったキーワードが、家づくりでも差が出やすいポイントです。
実際に使うときの動きを、立体的に考えられているか?使いやすいような棚まで、ちゃんと設計されているか?を見ましょう。
デザインや性能だけでなく、使い勝手という観点で収納はどこに気を付けて設計されていますか?
収納は目的ごとに細かく分けて設計しています。
目的ごと、と言いますと?
例えばキッチンのそばにある収納は可動棚を設けており、食品を収納するにも、小物や書類を保管するにも、自分でアレンジできる棚にしています。
一方で、玄関にはコートがかけられるパイプハンガー収納や、外から見えない位置に靴を収納できるオープンな棚を設置しています。
なるほど、使う用途に応じて収納の大きさだけでなく、棚の種類や隠せる工夫までしっかり考えられていますね。
このモデルハウスは、スキップフロアの下を屋内(リビング)から使える収納と、屋外から使える収納に分離して、細かく分けています。
この収納戸も、壁と同じクロスを貼った建具になっていたり、枠がない納まりで目立たないような工夫になっていたり、デザイン性に油断がないですね。
デザインと使い勝手が両立できるように毎回頭を悩ましています。
(デザインや性能も考えられている上に、使い勝手まで突っ込めない…)
現場を見ると会社の姿勢が丸わかり
(なんとか粗を探したいな…)
私が100社を超える会社・建築現場を見てきた経験から言えることは、「建築現場が散らかっている会社は、施工品質も会社としての対応も良くないことが多い」です。
施工現場が汚い=大工さんの施工管理ができていない=社内の管理体制もずさん、という構図です。
当然、現場が散らかっていると間違いや出戻り仕事も多くなり、施工精度や工期に影響してきます。
そのため、見学会以外で建築中の現場を見せてほしい、と伝えましょう。
自信を持ってその場ですぐ現場を案内してくれる会社であれば、安心できる大きな指標になります。
モデルハウスから離れますが、抜き打ちで現場に連れて行ってもらえませんか?
いいですけど、どうされましたか?
現場の管理がしっかりされているか、建築現場を見に行かせてください。
いいですよ、ここから車で10分くらいの場所に大工さんが入っている現場をご案内します。
資材や機材も整理整頓されていますね!(非の打ち所がないな…)
一番散らかっている時期で、急なのでちょっと御見苦しい点があるかも知れませんが…
大工工事の時期では十分きれいです。靴下で歩いても大丈夫そうな現場です。
当社の職人さんは、キレイに整理してくれる方が多いですね。
(5つのポイントで、どこかダメな箇所を突っ込みたかったのに…)
5つのポイントを気になる会社に聞いてみよう
ここで、会社選定で聞くべき5つのポイントを復習しておきましょう。
① 気密測定をやっているか(施工精度へのこだわりがわかる)
② 標準仕様で縛り過ぎないか、設計士やコーディネーターが打合せに同席してくれるか
③ 目的と効果、地域性が考えられた断熱設計になっているか
④ 収納は実際に使うシーン・目的まで考えられた設計になっているか
⑤ 現場が常に整理整頓されている会社か
この5つのポイントは、今回だけでなく全ての住宅会社選びに共通して使えるポイントになっています。
あなたも会社を選ぶうえでの指標として、この5つのポイントをメモして、良い会社の選ぶ基準にしてみてください。
住宅専門家としてフジタさんのモデルハウスに斬り込んでいこうと取材を申し込みましたが、結局ぐうの音も出ない結果になってしまいました…。
なお、今回取材協力いただいたフジタさんのモデルハウスは、こちらから予約して見学することができます。
ぜひ、取材で取り上げた細かいポイントのこだわりも含めて、見学に行ってみてはいかがでしょうか?
狭い土地でも広いおうちを建てたい方には、こちらの記事もオススメです。