北陸でも蓄電池は効果ってあるの?導入して損しない?と思う方も多いのではないでしょうか。
今回は石川・富山・福井で蓄電池を導入した時のコストパフォーマンスや、実際の償却年数だけでなく、蓄電池自体を導入する意味やメリットもわかりやすく紹介します。
今回は、太陽光に続いて住宅用蓄電池についてです。
太陽光発電についての記事はこちらをご覧ください。
確かに災害対策であったら便利そうだけど、ぶっちゃけどうなの?と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は蓄電池に関するよくある疑問にお答えする形で、蓄電池の基礎をみていきましょう。
それでは、まず今回の記事の要点です。
・蓄電池は停電対策だけでなく、普段の電気代を抑制する使い方ができる
・様々なタイプがあり、予算や使い方に応じたものを選べる(本文内で解説)
・北陸電力でも、23年4月以降電気代の値上がりがあり、政府の補助制度の行方次第ではさらに高くなる可能性もあり、蓄電池の効果は年々増加している
・住宅用蓄電池は、太陽光発電とセットで導入することがおすすめで、太陽光発電のデメリットを補う役割として有用
・北陸でも、太陽光発電を設置して10年経過した方や、災害対策を重視される方などにおすすめできる
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蓄電池ってどんなもの?
蓄電池と聞くと、災害時・停電時のための防災用品をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
そのイメージは正解ですが、実はいつ起きるかわからない災害時の為だけのものではありません。
普段の生活においては、太陽光発電でつくった電気、または安い単価の電気をためて、高い単価の電気代を買わないためのもの、として活躍します。
それでは、停電時と普段それぞれ、どんな使い方ができるの?という部分からみていきましょう。
停電時でも家の中で電気が使える
蓄電池には2つのタイプがあります。
停電時に普段とほぼ変わらず家じゅうの電気が使えるタイプと、あらかじめ決まったところしか電気が送られないタイプです。
停電してもリビングや子供部屋、機種によってはエコキュートなども稼働させることができるなど、蓄電池から出力できる上限があるとは言え、普段とあまり変わらない生活ができます。
これを全負荷タイプと言います。
一方、あらかじめ決まった回路(例えばリビングだけ)だけに電気を送るタイプがあります。
これを特定負荷と言っています。
蓄電池の容量にも限りがあるため、全負荷タイプは使い過ぎてしまうという側面もありますが、最近では全負荷タイプの方が人気です。
太陽光発電があれば、停電でも昼間(晴天)に電気を創り出して電気を使いながら、蓄電池側へも電気をためることができますので、災害対策としても太陽光発電とのセットで考えるのがよいでしょう。
普段は太陽光発電で創った電気をためて夜に使う
一方、100万円以上もする蓄電池を災害時だけに使うもの、ではもったいないですよね。
住宅用蓄電池の本来の使い方として、電気代の節約をするために使います。
太陽光発電システムで、日中発電した電気はまず宅内で使っている家電(冷蔵庫など)に使われ、余った分は電力会社が買い取ってくれる仕組みです。
ただ、太陽光発電が付いていても、夜間や雨の日は電力会社から電気を買います。
昨今、電気代が急激な値上がりをしていて大変ですよね。
蓄電池は太陽光発電で発電した電気や、割安な深夜電力を貯めて、その電気を使うことができます。
蓄電池の効果としては、高い単価の電気を買わない為の防御策として活躍します。
「そもそもどうして電気代が高いんだっけ?理由をしっかり知りたい!」という方には、こちらの記事がオススメ。
電気代仕組みをしっかり解説しています。
どれだけ効果があるの?
それでは、みなさんが一番気になっているポイントである、経済的な効果はどれくらいあるの?というポイントです。
結論からお伝えすると、北陸エリアでは太陽光発電とのセットで初期コスト次第ではあるものの、15年~20年程度でペイできる可能性があります。
ただ、蓄電池は元を取ることが目的ではなく、今後の社会的な仕組みや災害対策、出費の抑制として考えるべきでしょう。
自家消費の効果
まず上図のシミュレーションでは、金沢市で一般的な太陽光発電・蓄電池のセットを導入した場合の経済効果として、年間で約18.3万円となっています。
グラフの青い部分が自家消費、つまり発電した電気を自分で使っている割合です。
一方で、ピンク色の部分が発電した電気を売電、つまり家で使う分+蓄電池にためる分以上に発電して余った分を表しています。
割合としては、この自家消費の割合の方が高いことがグラフでわかりますが、現在新規で太陽光発電を設置する方は、売電の買取単価が安くなっているため、必要以上に太陽光発電を設置する必要はありません。
初期コストとのバランスは
上記のシミュレーションを実現するためのシステム価格(23年の一般相場)では、約300万円(太陽光発電170万円・蓄電池130万円)となり、単純に割り算をすると約16~17年程度の償却になります。
ただ、10年を超えると売電単価が下がりますが、その分を加味していない為、実際には16年以上かかります。
しかし一方で、今後電気代がさらに高騰してくる可能性を踏まえると、この償却年数が縮まる可能性もあります。
つまり、蓄電池は「高い電気を買わない為の防御策」とお伝えしましたが、さらに電気代が上がってきた場合、この高い電気を買わない効果も同時に上がっていくわけです。
23年1月から、政府の補助金で電気代の高騰が「一時的に」抑制されていますが、これも一旦は9月までの暫定措置であり、23年後半の冬季はどうなるか見込みが立っていません。
日本だけの問題ではなく、特に化石燃料をベースにしたエネルギー価格は、今後も世界的に高騰し続けていく見方が一般的であり、自己防衛を考えると蓄電池は有効な手段の1つです。
補助金で償却年数を圧縮
上記のシミュレーションには補助金は考慮していません。
23年時点では、新築ではZEH支援事業・こどもエコすまい支援事業(リフォームでも条件により適用可能)といった国が用意する補助金があります。
ただし、蓄電池の工事だけでは対象にならないため、各種条件を満たす工事内容にする必要があります。
また、北陸エリアであれば各自治体で補助金が適用できる場合もあり、お住まいのエリアでも調べてみるとよいでしょう。
代表的なエリアの補助金情報を参考に掲載します。(23年3月時点)
エリア | 補助額 |
---|---|
石川県金沢市 | 10万円 (太陽光発電とのセット導入) |
石川県白山市 | 5万円 (太陽光発電とのセット導入) |
富山県富山市 | 5万円 (市が実施する「チームとやまし」に環境家計簿入力・ZEHとの併用不可) |
富山県高岡市 | 2万円 (太陽光発電とのセット導入) |
年度によって、補助金の有無・金額は変動する可能性がありますので、設置するタイミングで改めて調べてもらうことをおすすめします。
どんな人に導入の価値があるの?
それでは蓄電池を導入する価値がある方はこんな人!という形で上記の説明をふまえて解説をしていきます。
太陽光発電を設置して10年経過した方
太陽光発電システムが一気に普及し始めたのは2009年ですが、その理由は売電の固定価格買取制度(FIT制度)が始まり、当初48円という高単価で買い取りがスタートしました。
この高単価での買取制度のおかげで太陽光発電は一気に普及し始めたわけですが、この制度は10年間の単価であり、10年経過すると7円~8円を相場とした単価で買取されます。
せっかく発電しているのに、安い単価でしか売れないのであれば、自分で使った方がトクです。
そのため、太陽光発電を設置して10年経過した方で、パワコンなどの保証が切れたり、故障したタイミングなどで蓄電池を追加導入される方が増えています。
災害対策や今後のリスクを重視される方
最終的に蓄電池の効果があるの?という疑問に対しては、「効果があるけど、太陽光発電単体設置に比べると償却年数は長くなる」というのが回答になるでしょう。
蓄電池導入のメリットの1つである、災害対策を重要視される方にもおすすめです。
地震だけでなく異常気象が続いていることを考えれば、大雪・台風などによる停電リスクもありますので、家族を守るためのアイテムとして検討するのもよいでしょう。
このような災害リスクに対する備えをしっかりして、さらに毎月の出費を減らすという部分に価値を感じる方であれば、導入を検討してみても損ではありません。
EVを持っている・買いたいと思っている方
ニチコンのトライブリッドシステムを中心として、EV(電気自動車)との連携が図れるシステムが徐々に普及しつつあります。
EVの電気を家で使えるようにするV2Hシステムまで導入すれば、住宅用蓄電池の容量を補完することができます。
V2Hには様々なシステムが存在するため、導入にはしっかり検討することをおすすめしますが、生活の中でEVをうまく蓄電池として活用できる方であれば蓄電池を含めたシステムを導入するのもよいでしょう。
考え方次第では、住宅用の蓄電池でなくEVを蓄電池代わりに購入するという選択も悪くありません。
まとめ
北陸では現状、経済的なメリットだけを考えると元を取るという意味では、15年以上かかってしまいます。
ただ世界的な状況をみれば、今後電気代が安くなる方向には考えにくいため、さらに電気代が上がってくることを考えれば蓄電池の効果は年々あがっていくでしょう。
また、徐々にシステム価格が下がってはいるものの、蓄電池の原材料が高騰しており需要と供給のバランスで一気には下がりにくい側面もあります。
蓄電池自体の人気は高まっており、一部商品では品薄になっている現状もあるため、気になった方は早めに動いてちょうどいいでしょう。
家族を守るためのもの、今後のリスクヘッジとして蓄電池をこの機会に考えてみましょう。