メンテナンスがかかりにくい家にするためには、注文住宅で新築の仕様を選ぶときがポイント。
今回は一般的なメンテナンスコストの目安から、メンテナンスコストを抑えるためのコツを見ていきます。
将来的に安い、いい家づくりをするためには必見の記事です。
住宅は完成したら終わり、ではなく長く住み続けるものです。
人生を共にするような長い付き合いになるわけですが、住宅には定期的なメンテナンスが必要で、メンテナンスを怠ると致命的なダメージに至ることすらあります。
しかしメンテナンスには当然コストがかかるため、だれでもコストは抑えたいものですよね。
今回は住宅のメンテナンスコストの目安と抑えるためのコツに焦点を当てて紹介していきます。
・新築時にメンテナンスが掛かりにくい設備、交換がしやすい設備を選ぶことが大事
・外壁・屋根はメンテナンスの必要性が高く、コストも目立って掛かる部位の為、新築時に高耐久の商品を採用しておくことがおすすめ
・シロアリの薬剤散布は5年もしくは10年ごとにしっかり行うこと(薬剤の種類による)、シロアリが好む環境を作らないこと
・水まわり設備(キッチンやお風呂など)は意外と長持ちするため、コンロや食器洗浄乾燥機などの部分改修がおすすめ
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メンテナンスコストの期間と目安
業界でもっともよく使われている、住宅産業協議会によるメンテナンススケジュールとコスト目安をもとに一覧にまとめました。
住宅はこのように、おおよそ10年~15年おきに大きなメンテナンスを入れることが推奨されています。
外まわり
メンテナンスの話においてもっとも重要な要素である、外壁・屋根のメンテナンスをみていきましょう。
リフォーム工事のチラシでも、外壁や屋根塗装の話はよく聞きますが、裏返せばそれぐらい頻度が高く、しっかりやらないといけない部分でもあるわけです。
また、外まわりの整備をする理由は、雨漏り対策です。
日本の家は8割以上が木造住宅ですが、塗り替えをすることで外壁の表面などから水が浸入することを防ぎます。
雨漏りなどで水が浸入してしまうと、柱や土台などを腐らせてしまいシロアリを呼び込むことにもつながります。
そして最終的には腐食が進行し、本来の構造体の役割である家を支える力がなくなり、地震などの際に弱点になります。
一般的な外壁や屋根材のメンテナンス周期は、おおよそ10年程度です。
また、35坪程度の住宅では外壁の塗り替えで100~150万円、屋根の塗り替えで50~100万円となっています。(使用する塗料の種類により変動)
水まわり
つづいてリフォーム工事でも人気が高いキッチンやお風呂、トイレなどの水まわり設備も見ていきましょう。
平均15年程度でリフォーム工事をされる方が多いですが、その理由は老朽化や汚れがひどくなってきた、という理由が多い印象です。
金額の目安は、以下の通りです。
・キッチン:約100万円~(対面キッチンから対面キッチンへの入れ替え)
・お風呂:約100万円~(同じ大きさのお風呂への入れ替え)
・洗面化粧台:約20万円~(同じ大きさの入れ替え)
・トイレ:約15万円~(タンク有トイレの入れ替え)
ただし水まわり設備は、全部交換しないといけないわけではなく、例えばキッチンであればコンロと食器洗浄機だけ、といった交換でも十分でしょう。
トイレも陶器製の一般的な形状のタイプであれば、温水便座を交換するだけで使い勝手なども改善しますので、故障している箇所や予算によって柔軟に考えましょう。
シロアリ対策
特に木造住宅の場合、シロアリはしっかり対策をしておきたいメンテナンス項目です。
外まわりでも少し触れたとおり、雨漏り×シロアリの相乗効果が生まれてしまうと、家は急激に傷んで取り返しのつかない状況になることも。
まず、シロアリの薬剤散布は様々な種類がありますが、一般的なものであれば効果は約5年とされています。
一般的な35~40坪ぐらいの2階建て住宅で、1回の処理費用は15~25万円です。
種類によっては10年程度、効果が持続するタイプもあるので、費用と頻度を考えて選ぶのも良いでしょう。
またシロアリ薬剤散布と同時に、住宅の周囲を「キレイ」にしておくことも大事です。
廃材や枯草などが置いてあるとシロアリの巣になりやすく、そこから自分の家にシロアリが “ お引越し ” してしまいやすくなります。
家のまわりにゴミや廃材などを置きっぱなしにしないことも、シロアリ対策です。
メンテナンスコストを抑えるためのコツ
それでは、みなさんも気になっているメンテナンスコストを抑えるためのポイントを見ていきましょう。
共通している結論は「新築の時にグレードの高いものは長持ちしやすい」ということです。
外壁のメンテナンスコストを抑えるコツ
まずはメンテナンスコストに大きな差が出る外壁・屋根の外まわりについてです。
まずは外壁から。
外壁には様々な種類がありますが、現在新築で多く採用されている外壁は窯業系(ようぎょう)サイディングと呼ばれる外壁です。
コンクリートと木片チップを混ぜてプレスした素材になっており、一般的には10~15年程度での塗り替え・30年程度での張替えが推奨されている外壁です。
しかし、例えば外壁メーカー・KMEW(ケイミュー)の外壁、「光セラ」は約40年の耐久性を持っており、40年塗り替え不要という高耐久性能です。
こちらの表にある通り、一番下の一般的な外壁の場合、約30年で2回の塗り替えを行った場合、初期コストが安くともメンテナンスコストがかさんで費用累計で約540万円かかることになります。
一方、上から2番目・3番目の高耐久の光セラの場合、30年間塗り替え不要になっていることから、初期コストが少し高くとも最終的なコストは約369万円~363万円となっています。
その差額は約170万円となっており、高い外壁を採用したにも関わらず安くなっています。
また、外壁と外壁の間にコーキングという隙間を埋めるための処置をしますが、そのコーキングが劣化してくると、外壁材同様に打ち換えをしないといけません(雨水侵入の原因に)
そのため、外壁そのものをグレードアップするだけでなく、足場代などを考えるとコーキング(業界用語ではシールとも言う)も同時にグレードの良いタイプにしておくことがおすすめです。
屋根材のメンテナンスコストを抑えるコツ
現在の新築で一般的に多い屋根材は、金属(ガルバリウム鋼板)屋根、もしくはスレート屋根です。
屋根は直射日光が当たって劣化も進行しやすい場所であるのと同時に、雨漏りを確実に避けたい部分でもあります。
そのため、外壁と同様の考え方で「良いモノを最初に採用しておくことでメンテナンスコストを抑える」ことができます。
スレート屋根に比べて、ガルバリウム鋼板の金属屋根は少しコストが高くなることが多いですが、耐久性を考えると金属屋根がよいでしょう。
また塗り替えの必要がなくとも、10年ごとに屋根材に部分的なズレや割れ、役物(軒先などに使っている屋根材以外の部材)・役物釘のズレや浮き等がないか専門家に点検してもらいましょう。
水まわりのメンテナンスコストを抑えるコツ
最近の水まわり設備は、各社長持ちするような素材を使ったりしているため、比較的長く使うことができます。
しかし、より長持ちするためのコツをそれぞれの設備ごとに解説していきます。
【キッチン】
汚れやすい場所であるカウンターおよびシンクは、メンテナンスを考えるとステンレス製がおすすめです。
標準的なキッチンをショールームで見比べると、どうしても人造大理石カウンターの方がキレイに見えますが、長く使っていると熱・汚れによって変色を起こしてしまうことがあります。
こういった変色は表面研磨をしない限り取り除くことができず、乱暴に扱うとヒビが入ることすらあります。
カウンター交換を行うと費用は20万円程度~と多額な費用がかかるため、メンテナンスを考えるとカウンター・シンクはステンレス一択です。
そして、さらにメンテナンスコストを抑えるのであれば、20年程度経ったキッチンは丸ごと交換ではなく、コンロ・レンジフード・食器洗浄乾燥機の3点を交換するだけです。
こういったメンテナンスを想定して、各機器は新築時に一般的なタイプを採用しておくと良いでしょう。
【お風呂】
最近のシステムバスは、各社メンテナンスが掛かりにくい仕様に力を入れています。
特に壁については、標準的なお風呂でも目地(コーキング)が少ない仕様になっており、昔のお風呂のようにカビキラーを壁につけて・・・という必要性はありません。
メンテナンスに関して注意したいポイントは、浴槽・ミラー・カウンターです。
答えから申し上げると、浴槽は人造大理石にすること、ミラーとカウンターは付けないことがメンテナンスを考えたおすすめです。
【洗面化粧台・トイレ】
洗面化粧台は正直、洗面ボウルが割れない限り使える設備です。
そのため洗面ボウルは陶器製ではなく、特殊な樹脂素材を使ったタイプを選ぶと、長く使うことができるでしょう。
またトイレについても便座と便器が一体になったタンクレストイレではなく、一般的なトイレがおすすめです。
陶器製の一般的なトイレは凍結や強い衝撃で割れない限り、半永久的に使えます。(水の勢いで汚物を流しているだけの単純な構造だから)
ただし、温水洗浄便座は10〜15年程度での交換が推奨されますが、便器と分離しているタイプであれば安価なモノから、色々な機能がついたものまで選べる範囲も広く、メンテナンスしやすいと言えます。
まとめ
まとめると、外まわりは各社メンテナンスが掛かりにくい高耐久なタイプを選んでおくことがおすすめです。
また、一方で水まわり設備は交換がしやすいタイプ・元々壊れにくい構造のもの・汚れにくい素材を選ぶことで、将来的なメンテナンスコストを圧縮できます。
ただ、せっかくの新築でもあり、好みのデザインや機能を優先したい部分もあるでしょう。
すべてをメンテナンスへ重きを置いてしまうと、選択肢で不自由が出ることも考えられるため、ご家族内の価値観もしっかり考えながら、コストをかけるバランスを考えてみてください。
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