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【地域おこし協力隊インタビュー/能登町】「もっと積極的になろう」。地域おこし協力隊になって私が変わるまで。/出村公美さん

「もっと積極的になろう」。
能登のいいものをぎゅっと詰め込んだセレクトブランド「HOSHI HANA SELECT」を広く知ってもらおうと意欲を燃やす出村さん。

「始まりは誘われたから」。
意外にもそんな受け身で引き受けた、能登魅力化プロジェクトの立ち上げがきっかけで、能登町へ移住したんだとか。地域おこし協力隊から、そして妻、母へと、移住によって人生が激変した出村さんの移住ライフを振り返っていきます。

 

 

出村 公美(でむら くみ)さん プロフィール

1991年9月24日生まれ。石川県輪島市出身。
2014年に立命館大学文学部人文学科東洋史学専攻を卒業後、株式会社インディペンデントインキュベータ(金沢市)に入社。
2016年7月には能登町地域おこし協力隊に着任し、能登高校魅力化プロジェクト推進に従事。
任期終了後の2021年6月からは、合同会社能登みらい創造ネットワークの社員として、引き続き能登高校魅力化プロジェクトの裏方業務を行うほか、柳田植物公園にてオリジナルブランド「HOSHI HANA SELECT」の商品開発や販路開拓にも携わる。

「第二の故郷、能登の海がお気に入り」。疲れたときには、海と向き合う。

——現在、能登町でどんな日々を送っていますか。

 

出村さんお気に入りの能登町の海。

出村さん:「何をするでもなく、ただぼーっと海を眺めるのが至福の時間」。
中でも、あばれ祭りの会場、宇出津港いやさか広場から見る海がお気に入りですね。

 

あばれ祭の時とは一変、普段はとっても穏やかな場所なんですよ。疲れた時や子どもの散歩など、何かにつけて海へと足が向いてしまいますね(笑)。

 

——海が好きということですが、出身の輪島市にも海がありますよね?

 

出村さん:輪島市の海は外浦で荒々しいのに対し、能登町の海は内浦でとっても穏やかなんです。
そんな落ち着いた海を見ていると、自分の心までも落ち着かせてくれます。
私的にはそんな能登の海の方が気に入っていますね(笑)。

「能登を懐かしんで」。能登のちょっといいもの「HOSHI HANA SELECT」

——昨年に地域おこし協力隊を退任してからは、どのような活動を行っていますか。

 

柳田植物公園で開かれたマルシェに並ぶ能登のセレクトブランド「HOSHI HANA SELECT」。

 

出村さん:現在は、柳田植物公園の職員たちが能登のいいものを厳選した、能登のセレクトブランド「HOSHI HANA SELECT」に携わっています。
商品開発を進めるほか、販路拡大に向けて試行錯誤している真っ最中ですね。
協力隊の頃から引き続き、まちなか鳳雛塾(ほうすうじゅく)の方でも裏方として事務や経理に携わっています。

 

——能登のセレクトブランド「HOSHI HANA SELECT」とは、いったいどんなブランドなんでしょうか。

 

出村さん:能登町をはじめ、奥能登全域で作られた「ちょっといいもの」を選りすぐったブランドです。
能登町で頑張る事業者とその商品を応援しようと、昨春に立ち上げたばかりの駆け出しブランドなんですよ。

食べたり、使ったりすることで、能登を思い出させる、どことなく懐かしさを感じさせるようなものをコンセプトに掲げ、現在は、お米や佃煮、ジャムなど、飲食を中心とするラインナップを取り揃えています。
さらに2022年4月には、柳田植物公園内のローズガーデンから着想を得たローズジェラート4種が新たに仲間入りしました。

 

——どれも美味しそうなものばかり。商品への反響はいかがですか。

 

「HOSHI HANA SELECT」の商品たち。

 

出村さん:まだまだ認知度が低く、町内でさえ知られていないのが実情です。
しかし、実際に商品を食べたお客様からは、「ついつい食べてしまうくせになる味」「あえての素朴な味わいが美味しい」など、好評の声をたくさんもらっています。

一度食べてもらえれば、必ずその良さを分かってもらえる魅力的な商品たちばかりなので、まずは手に取ってもらえるよう、興味を惹きつけるアピールの仕方を勉強していかないといけないですね。

「始まりは誘われたから」。移住がその後の生き方を変えた

——輪島市出身の出村さんですが、なぜ能登町へ地域おこし協力隊として移住しようと思ったのでしょうか。

 

地域おこし協力隊の活動事例を発表する出村さん。

 

出村さん:きっかけは誘われたから、ですね。
大学を卒業後、金沢で就職して販売管理の仕事をしていた時、中学高校時代の塾の恩師から、能登高校魅力化プロジェクトの立ち上げメンバーとして声を掛けてもらったのが始まりでした。

大学で教員免許を取得し、何か教育に関わることがしたい思いがあったのと、地元も近いことだし、とりあえずやってみようかなと思って引き受けることにしました。

 

——ほう。出村さんは今まで出会ってきた地域おこし協力隊の方たちとは、なんとなく毛色が違う気がします。

 

出村さん:実のところ、自分自身を根暗だと思っていて…。あまり人前では根暗にならないよう気をつけてはいるんですけど。

 

 

休みがあればずっと家で寝ていたいと思うほどインドア派だし、大人数より一人でいる方が気楽だと思ってしまいます。

地域おこし協力隊や移住者というと、一般的には活発なイメージに思われがちですけど、自分はそんなタイプとは真逆だと思いますね(笑)。

 

——それは意外でした!いろんな方たちがいるんですね!

 

出村さん:誘われたのが全ての始まりで、いまの夫と出会って、妻となり、さらに母となり、気付けば移住を機に人生が大きく変わっていました。移住前はまさか、いまがこんな風になっているとは思いもしませんでした。

「誰がこの町に移住して来ても大丈夫。心配はいらないよ」。こんな私だからこそ、自信を持ってそう言えますね。

 

——子育てと地域おこし協力隊の活動の両立で悩んだことはありませんでしたか。

 

まちなか鳳雛塾の学習風景。

 

出村さん:私の場合、任期中に子ども2人を出産し、2度の産休と育休を取得しました。
子どもが生まれる前は、午後1時から午後10時までの勤務で夜遅くまで仕事漬けの毎日でしたが、子どもが生まれた後は、週の半分を日中の勤務へと変更してもらいました。

「気にせず行っておいで」と、夫も快く仕事へと送り出してくれて。負担なく両立できたのは、育児にも協力的で、私への仕事への理解が大きかった夫のおかげですね。

 

——ご主人の後押しは気持ちの面でかなり助けられますね。その他に、何か周りからのサポートはありましたか。

 

子どもとたわむれる出村さん。

 

出村さん:復帰後、幼い子どもが熱を出したり、お腹を下したりなど、どうしても急に休まなくてはいけない場合が多々ありました。そんな時でも、同僚たちは文句一つ言わず、大丈夫ですと気を利かせてフォローしてくれました。そんな心遣いがありがたかったですね。

やはり最初の頃は、急に休むことへの罪悪感が大きかったけど、甘えさせてもらおうと思って頼っています。

「受け身はやめる」。地域おこし協力隊を経て、なりたい自分へ

——とても勇気づけられる一言です。そんな出村さんの地域おこし協力隊時代の活躍を教えてください。

 

能登町唯一の高校である能登高校。

 

出村さん:任期中は、能登の子どもたちの教育をサポートする町営塾「まちなか鳳雛塾(ほうすうじゅく)」で講師を務めていました。まちなか鳳雛塾とは、町唯一の高校である能登高校を地域で盛り立てていく「能登高校魅力化プロジェクト」の施策の一つとして開設しました。

塾では町の子どもたちによりよい学習環境を提供するとともに、生徒の自律的な学習力の向上を手助けしています。現在、小学生から高校生まで約70人が参加し、集団授業を受けたり、自学自習を進めたりしています。

 

——なるほど。生徒への指導は教育実習以来だったそうですが、初めての経験でいろいろと大変ではなかったですか。

 

まちなか鳳雛塾で授業を行う出村さん。

 

出村さん:年齢層も幅広く、個性豊かないろんな子どもたちがいるので、学習レベルや進度、特性を考慮して個別で指導にあたらなければいけないのが大変でした。

例えば、小学生の場合は、自律学習に慣れるところからのスタートで、いかにやる気を後押しするかが課題でした。また高校生の場合だと、受験を控えた過敏な時期にどうフォローすべきか、かなり悩みましたね。

 

——そのような生徒に対しては、どのように対応したのでしょうか。

 

まちなか鳳雛塾で生徒に個別指導する出村さん。

 

出村さん:やる気が出ない小学生に対しては、とにかく褒める、ですかね。
例えば、前回よりプリント一枚でも一問でも多くこなしてきたなど、努力の跡が見られたらすぐに褒めるように心掛けました。

また、受験までモチベーションが保てそうもない生徒に対しては、勉強自体を放棄してしまわないよう、こまめな声掛けを意識しました。「最近どう?」と調子を聞いてみたり、塾に来れないときにも電話で口頭テストに付き合ったりと、生徒ができる範囲で最大限のサポート提供するよう努めてきました。

 

——そんな苦労があるとは知りませんでした。反対に、やりがいを感じたのはどんなときになりますか。

 

出村さん:自らの意思で塾に来たり、楽しそうに授業で発言したりする生徒の姿を目にしたときは、励みになりましたね。

 

まちなか鳳雛塾の卒塾生との一枚。

 

それに、最初は人見知りな子どもたちが、次第に打ち解けてきて、話し掛けてきてくれるようになると、すごくかわいいなあと。子どもたちに流行りのものを教えてもらったり、学校での出来事を聞かせてくれたりと、そんなたわいもないやり取りが嬉しかったですね。

 

——充実した3年間だったのが伝わってきました!

 

出村さん:でも正直言うと、充実感はあまりなくて…。
「何もしないまま3年間が終わってしまう」。任期終了間際はそんな気持ちでいっぱいでした。結局この3年間で自分は何をしたんだろう、と思い悩みながら任期を終えましたね。

 

——それは一体どういうことなのでしょうか…?出村さんがそう思ったきっかけを教えてください。

 

まちなか鳳雛塾に通う生徒たちとの一枚。

 

出村さん:「声が掛かれば動くけど、自分からはしない」。そんな感じで、元々かなりの受け身体質でした。
任期2年目を迎えた頃、新たに加わった協力隊員がとても積極性にあふれた方で、身近に自分もこんな風にならないといけないと思える存在が現れたことが大きかったですね。

「このままの自分でいいのか」。任期が終了して次のステップに進まなければいけないときに、いい加減そんな受け身な自分に嫌気が差しました。そのとき、積極的な自分に生まれ変わろうと思い腰を上げることができました。

 

——その後、積極的な自分になるためにどんな努力をしてきましたか。

 

出村さん:言われる前に、自ら考え自ら動く。機会をうかがうのではなく、自ら足を運ぶようにしています。
そんな風に意識し始めてから、少しずつですが、自分の意見が言えるようになってきたな、と日々実感しています。

 

——とても大きな一歩ですね!ひたむきに努力する姿にただただ感心です。

「能登町まるごと召し上がれ」。山海の幸、地元食材で腕をふるう日々。

——出村さんだからこそ知る、能登町の魅力を教えてください。

 

地元で採れた野菜が並ぶマルシェの様子。

 

出村さん:能登町は山海の幸であふれています。どの食材もここでしか味わえない絶品の美味しさです。
飲食店が少ない分、腕によりを掛けてたくさんの手料理を作ろうと思うようになりましたね。

家族も毎日、美味しい美味しいと言って食べてくれるので、作りがいがありますね!

 

——羨ましい!一押しの食材やおすすめの食べ方はありますか?

 

出村さん:私のおすすめはやっぱり魚ですね。スーパーに行けば当たり前のように旬の魚が手に入ります。
特に何もしなくても、シンプルに焼くだけで美味しい一品になりますよ。

この町には分け与える文化が根付いていて、畑で採れた野菜や海で釣れた魚など、ご近所さんが次々にお裾分けしてきてくれます。
季節の野菜や魚を組み合わせて調理するのが毎日楽しいですね。

子どもにも美味しいものをたくさん食べさせてあげたいという親心を叶えてくれる、住みやすい町だと実感しています。

気になる!ご主人との馴れ初めに迫る!

——能登町に移住して、ご主人と出会い、見事結ばれた出村さんですが、自身の馴れ初めから能登町の恋愛事情まで、気になるあれこれを教えてください!

 

子育てに励む出村さん。

 

出村さん:任期2年目の2017年に仕事の関係で主人と出会いました。
それから食事を重ねて仲が深まり、出会った翌年の2018年には結婚することになりましたね。同年には第一子も誕生しました。

 

——出会ってから結婚に至るまでとんとん拍子で…!羨ましい!

 

出村さん:移住してきて数か月後には、この先もずっと能登町に住み続けてもいいかなあという思いを抱いていました。
でも、まさかこんな風に急激に人生が変わるとは思ってもいなかったですね。

 

——そうですよね。実際のところ、能登町には若者の出会いの場はあるんでしょうか?

 

出村さん:やはり若い人たちの数は少ないですが、交流する場や機会はたくさんあると思いますよ。少ないなりに、自発的に若者どうしで集まって、さらに人づてに輪が広がっているように思いますね。

 

——移住者がそのコミュニティに入っていくのはなかなか難しいのではないですか?

 

能登町のママ友たち。

 

出村さん:町には気さくな人が多いので、きっかけづくりをしてくれる人はかなり身近にいるはずです。
声を掛けてもらったときに、その機会を逃さなければ心配しなくても大丈夫ですよ。

それに、町にはお店が少ない分、若者のたまり場になるお決まりの店があって、自然とその場所から紹介づてに出会いの輪が広がっていきます。
誰かとご飯に行ったら必ず誰かしらの知り合いがいて紹介してもらえるし、一度会ってしまえばすぐに顔を覚えてもらえるのですぐ馴染むことができますよ。

 

——地域事情からプライベートな経験談まで、能登町のリアルライフに触れることができました。移住者の背中を押してくれる言葉の数々、ありがとうございました!

 

能登高校魅力化プロジェクト「まちなか鳳雛塾」

《公式サイト》能登町営 まちなか鳳雛塾

 

やなぎだ植物公園

《公式サイト》柳田植物公園