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【インタビュー】好きだから、強くなれる。/アンティークキモノ装姫SOKI 池村 かよ子さん(後編)

金沢・竪町エリアにある築100年の古民家で、アンティーク着物の専門ショップ「アンティークキモノ装姫SOKI」を営むオーナーの池村 かよ子さん。

前編に引き続き、後編では大好きな着物の魅力や仕事のやりがい、これからの夢について伺いました。

 

前編はこちら

 

大好きな着物に囲まれて 

———-今この仕事をされていて、一番の楽しみは何ですか?    

 

池村:やっぱり可愛いアンティーク着物に出会えたとき、そして常に大好きな着物に囲まれて仕事ができることが一番の喜びですね。 それに、お客様に喜んで頂けた瞬間が嬉しいです。着物の相談を受けたり、着物のコーディネートを任せて頂けた時は、とてもやりがいを感じますし。    

 

———-大好きな着物に囲まれて、とても楽しくて仕方がない想いが、池村さんの表情からも伝わってきます。お店には普段どんなお客様が多いんですか?    

 

池村:年齢層は幅広いですね。高校生や大学生のお客様も多いんです。最近は着物を羽織として洋服とミックスするのが流行っているみたいで、「これ可愛い!!」と気に入って購入してくださることも多いです。    

 

———-学生さんのお客様も多いんですね!確かに最近、成人式でもレースや手袋などのアンティーク小物を合わせるなど、アレンジが流行っていると聞きました。ちゃんとした着こなしはもちろん素敵ですが、自分なりにアレンジして個性を出した着こなしも素敵ですよね。    

 

池村:そうですね、成人式のご相談も今年は多かったです。小物の合わせ方などアイディアはたくさんあるので、いろんな着こなしをご提案できたらいいなと思っています。

料理で例えると、フォーマルな着物は高級レストランで食べる食事。アンティーク着物は、自宅にあるものを適当に作って食べる毎日の食事。毎日の食事だから気軽に食べたいし、でも美味しくも食べたい。そんな想いをサポートする存在のように、着物を毎日の普段着のように着るサポートをするお店としてあり続けたいです。

 

思い通りにならなくていい

———-池村さんは2人のお子さんを持つ母親でもありますが、仕事と家庭の両立という面で大切にされてきたことはありますか?    

 

池村:子どもが3歳までは自分の手で育てたい、というポリシーはありました。逆にそれ以降は勝手に育つかなって。おかげさまで、2人とも元気に育ってくれました。

子育てって、思い通りにならないことが多いんですよね。だから「こうしなきゃいけない」「こうあるべき」というのがあまり無くて。よく親は子供に育てられると言いますが、子どもに合わせて私も親として成長してきた感じかも。

唯一、食事は気を付けていましたね。私、意外とちゃんと作るんです(笑)幼い頃の食生活って大切だと思うので、ちゃんと作れる時間があるときは作るように心がけています。

とりあえず私、真面目じゃないんですよ。「ま、いっか」という性格なので、何があっても落ち込まず、後ろばかり見ないで前を向くようにしてきた感じ。仕事も育児も、その方がやりやすいかなって。    

 

———-「こうしなきゃ!」と真面目になり過ぎると、精神的にも疲れちゃいますもんね。気を付けるところは気を付けて、それ以外は「なるようになる」くらいがベストなのかもしれませんね。仕事に対して、家族からのサポートもあったんですか?    

 

池村:初めは、かなり不信感を持たれていました(笑)フランスに行くと言ったときも、だいぶ怒られましたね。やっぱり3週間ほど家を空けることになるので。今は以前より理解をしてくれるようにもなりましたが…半分諦めてるのかな?(笑)

頑固者の性格だからこそできたのかもしれません。何を言われても貫き通す気持ちがないと、自分のやりたいことなんて出来ないですもんね。    

 

———-反対されて諦めていたら、何もできないですもんね。何かやりたいと決意したら、多少の障害も乗り越える覚悟がないとダメなんだろうなと改めて感じますね。

 

 

 
池村:大変なこともありましたが、仕事をする上で家族から助けてもらっていることも多いんです。
お義母さんが美容師なので、着付けを教えてもらったり。もともと着物の知識がある自分の母親は和裁ができるので、着物のお直しをしてもらったり。私が仕事で子どもを看れないときは、旦那や自分の両親が代わりに預かってくれたり…。

 私の周りの環境がとても恵まれていて、協力があったからこそできた仕事だと思っているので、家族には本当に感謝しています。    

 

———-それは心強いですね!家族からの協力が得られたことが、とても大きかったんですね。池村さんにとって、今の仕事はまさに天職ですね。    

 

池村:私自身、この仕事にそこまで執着はしていなくて。近年、明治・大正時代の可愛いアンティーク着物がだんだん手に入りにくい状況になってきているんです。

数年前と比べると、明らかに出回る量は減っていて、市場でも見つけたらラッキーという感じ。だから、これから先いつかはこの仕事ができなくなるんじゃないかって感じています。    

 

———-え~、じゃあアンティーク着物はいつか買えなくなってしまうんですか??    

 

池村:昭和時代のアンティーク着物はまだ世の中にたくさん出回っているので大丈夫ですよ。ただ私が好きな明治・大正時代の着物は、どんどん減ってきています。だからここ最近、つい手放したくないという欲求が出てきてしまって…(笑)

たとえ着物がなくなっても、着物の文化は受け継がれると思うんです。その側面から私もできることはたくさんあると思うので、着物をもっと気軽に楽しめるようサポートをする活動も行っています。

 具体的には、普段着のように着物を着てみんなで飲みに行くという会を毎月開催しています。このイベントをきっかけに、着物をより身近に感じてくれる方が増えるといいなと思います。    

 

———-着物がもっと身近になって、お出かけの際にも気軽に洋服感覚で楽しめるようになるといいですよね。私も着物を着て飲みに行きたくなりました!(笑)   

 

伝承したい着物の文化

———-これから叶えたい夢はありますか?    

 

池村:着物の仕事に限らず、チャンスがあれば世界中を旅してみたいです。私が本当に好きな着物に囲まれて、好きなことをやってきて、今すごく満足しているんです。
ただこれも商売なので、欲を言えばもっと多くのお客様に来ていただいて、また更にやりたい夢を実現させて行きたいな。    

 

———-いいですね、世界旅行。世界を旅することで、また新たなインスピレーションも生まれそうですね。池村さんにとって、アンティーク着物はどんな存在ですか?    

 

池村:アンティーク着物のおかげで、今の自分があるのかなって。着物って、全て一つ一つ手縫いで、蚕という自然のものからできているんです。さらにそれを人がまとう、そのことに大きなパワーを感じるんです。

昔の着物のデザインは、幾何学模様が多いって知ってましたか?
実は、幾何学模様には魔除けの意味があるらしいんです。だから、昔の人は着物を着ることで身を守っていたんです。それを初めて聞いたとき、妙に納得したというか…。    

 

———-初めて知りました。面白いですね。知れば知るほど、着物って奥が深いな~。    

 

池村:本当に奥深い(笑)だからこそもっと伝承していきたいですし、そんな着物だからこそ私も惹かれるのかもしれない。 本当に好きなことをやっていると、強気になれるんです。経験も知識も何もなかったけれど、堂々とやり続けてこられたのは、やっぱり着物が好きだという気持ちがあったからだと思います。

決して順調ではなかったけれど、好きだと思えたらできる。好きなものが周りにあって、それをお客様も喜んでくださるので、今とても楽しいし幸せです。 

だから、本当にやりたいことがあれば諦めずに行動すること。そうすれば、必ず道は開けるし、チャンスはやってくると信じています。    

 

———-着物が好きだという想いが、池村さんの心を支え、また周りにいる多くの家族や仲間からの協力にも繋がったんですね。

「好きだと思えたらできる」その言葉に込められた池村さんの生き方がとてもカッコよく、私も堂々とした生き方をしたいと改めて考えさせられました。とても素敵なお話をありがとうございました。

  

  
アンティークキモノ装姫

《公式サイト》KIMONO装姫