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【インタビュー】富山で描く、新たなものづくりの世界を/株式会社フジタ 佐田 由樹さん

今回、大学卒業と同時に岐阜から富山にIターン移住をして、現在はアルミ鋳造金型の設計・製作を主力とする株式会社フジタ(本社所在地:富山県高岡市福岡町)に勤めている佐田 由樹さんを取材させていただきました。

まだまだ女性の参画が少ない「ものづくりの世界」。

そんなものづくりの現場で見つけたやりがいや夢はもちろん、移住という慣れない地域での暮らしで感じたことなど、ざっくばらんに語っていただきました。

ただの町工場じゃない、フジタとの出会い

—–「ものづくり女子」というフレーズ、みなさんは耳にしたことがありますか?
男性が多いというイメージが強いかもしれませんが、最近ではものづくりの現場で活躍する女性も増えている印象を受けます。
本日お話を伺う佐田さんは、まさに「ものづくり女子」。

若い女性から見たものづくりの魅力をぜひ語っていただきたいなと思います。と、その前に。岐阜県出身の佐田さんは「移住女子」でもあるんですよね。
富山県に移住されたきっかけは何だったのでしょうか?

 

佐田 由樹さん(以下、佐田さん):実は私、中学生の頃から海のある地域に憧れていて、いつか移住したいという夢がありました。岐阜県には海がないので。

だから高校・大学時代には、移住する候補地を探すために日本全国さまざまな地域を旅しながら巡った経験もあります。
そんな中で、日本海の雰囲気が好きだったことと、幼少期から何度か旅行で訪れた経験があり馴染みがあったことから、富山県に住みたいという想いが芽生え始めて。

 

—–なるほど。もともと海のある県に住みたいという願望があったのですね。若い頃って、都会に憧れを持つ方も多いと思いますが、住みたい場所に富山県を選んでくれたのは嬉しいですね。

 

佐田さん:ただ、さすがに現地調査もせず富山に移住するのは不安があったので……ちょうど大学3年生の就活前に、富山県主催の「移住体験バスツアー」が開催されるのを知り、思い切って参加してみました。
そのツアーは、富山県の呉西地域にあるものづくり企業を巡る工程で。そのとき訪れた企業の1社が、株式会社フジタだったんです。

 

 

—–現在お勤めの株式会社フジタとの出会いは、その移住ツアーだったんですね。ツアーでは他にもいくつかの企業を巡られたかと思いますが、やはり株式会社フジタには何か惹かれるポイントがあったのでしょうか?

 

佐田さん:そうですね。フジタはただの町工場ではなくて、町工場にメタルアートを展示するミュージアムを作っているちょっと変わった企業で。
「なんだか変わったことをやっている会社だな~」と思ったのが、初めて訪れたときの印象でした(笑)おまけに社長がとても強烈的な方で(笑)この社長のもとで働いたら、きっと面白いだろうなって思いました。

 

—–町工場にミュージアムって、面白いですよね!ものづくりの現場で活躍する方々が手掛けた作品が展示されてあるとのことで、とても見応えありそうです。

 

佐田さん:そうなんです。小さな工場だけど、ミュージアムを作ったり新しいことに挑戦したり、とても積極的で活気がある会社だなと印象に強く残ったのを覚えていますね。

 

 

 

佐田さん:あと、工場内が想像以上にキレイだったことが印象的で。私の父親も工場で働いていたので、幼い頃によく父の職場に遊びに行くことがあったのですが、毎回靴の裏が真っ黒になっていた記憶があります。
けれどフジタの工場内は、靴の裏は一切汚れないですし、「本当にここで何か作ってる?(笑)」って思うくらい清潔感があったんです。町工場のイメージを覆された感じでしたね。

 

—–すごいですね!清潔感のある職場だと、社員みんなが安心して働けますし気持ちもいいですよね。それって、やはり社長の方針なのですか?

 

佐田さん:そうなんです。社員みんながキレイで安全な環境で作業できるよう、会社として作業環境の改善には特に力を入れてくれています。床も掃除がしやすいようペンキを塗り、毎週金曜日には社員全員で床の拭き掃除をしているんです。

 

—–素晴らしい取り組みですね。働きやすい職場環境はもちろん、きっとさまざまな場面で女性社長ならではの細やかな視点も活かされているのだろうな。

 

文系女子の挑戦、ものづくりの世界へ

—–ちなみに佐田さんって、学生の頃からものづくり系企業への就職を希望されていたのですか?

 

佐田さん:いや、実は私文系なんです。歴史学科を専攻していたので、どちらかと言えば国語と社会が得意で(笑)

 

—–え~意外!!(笑)バリバリの理系なのかと思っていました。

 

佐田さん:物理の授業なんて、受けながら寝ていたタイプで(笑)学生時代はものづくり系の企業に就職しようとは全く思っていませんでしたね。
だから、あのとき移住ツアーでフジタと出会っていなかったら、きっと今頃全く異なる仕事に就いていたかもしれません(笑)

 

—–そうなんですね。文系からものづくり系企業に就職するのって難しそうと思われがちですが、文系でも挑戦できるんだと勇気をもらえますね!カッコいいです。
今は主にどんな仕事をされているんですか?

 

佐田さん:メインは、金型の設計を行っています。パソコンの設計用ソフトを使って車のホイールの設計など、バリバリ理系っぽい仕事をしています(笑)

ただ私の所属している部署は、ミュージアムの運営やイベントの企画運営など、設計だけではなくさまざまな仕事に携わることができるんです。
入社2年目の現在は、設計の仕事をメインに担わせていただくなど、幅広い業務経験を積むことができる環境だと感じています。

 

—–金型の設計、カッコいい……。設計って、数字にも強くなければならないですし、専門用語もたくさん出てきそうですね。

 

佐田さん:私も始めは分からないことばかりで。知識がないばかりに、設計図の寸法を間違えたり。初歩的なミスのせいで最後の組み立て工程で上手く組み立てられない……なんてことも経験しました。
そのときは、1週間くらい悪夢に襲われましたね(笑)一般的には長さの単位ってセンチメートルだと思うんですが、設計の世界だとミリメートルが基本なんです。

当時はまず、それを変換して考えるところからでしたね。なかなか慣れなくて大変でした。まだまだ勉強中なので分からないことがあれば必ず聞くことを大切にしていますし、最近はよく図書館で本を借りて勉強をしながら知識を深めるよう頑張っています。

 

 

—–たくさんの失敗経験もしながら、日々努力されているんですね。仕事において一番のやりがいを教えて下さい。

 

佐田さん:自分が描いた設計図をもとに加工されて出来上がったものが、組み立てられて出荷されていくのを見たときが一番やりがいを感じますね。「あ~、終わった~!」って嬉しくなります。

 

—–なるほど。巣立っていく我が子を見送るような感覚ですね!特に印象に残っているエピソードはありますか?

 

佐田さん:以前、「組立図」といって複数の部品の組み合わせ(製品全体を表す)図面を描くところから初めて担当したことがあって。
最後に加工して出荷されたときには本当に感動しましたね。昔の図面を参考にしながら描いているので、全て自分で描いているとは言い難いのですが、それでも出来上がったときの達成感はひとしおです。

 

—–それは嬉しいですね!これぞ、ものづくりの醍醐味ですね。佐田さんにとって、ものづくりの魅力って何だと思いますか?

 

佐田さん:車のホイールなど大きくて重さもある金型って、自分一人では絶対に作ることができないし、会社だからこそ作れるものだと思っていて。
たくさんの仲間たちと一緒に大きなものを作り上げることができるってすごいなと、改めて感動するというか。それが、一番の魅力かもしれません。

 

暮らして分かる、富山の美味しい魅力

—–株式会社フジタに就職すると同時に、富山への移住も経験されている佐田さんですが、慣れない地域での暮らしに不安とかなかったですか?

 

佐田さん:移住して最初の1ヶ月はよく泣いてました(笑)そもそも私ペーパードライバーだったので、車の運転もまともに出来なくて。毎日怯えながら運転していましたね。
だからその当時は、会社とクスリのアオキと大阪屋ショップだけで生活していました。とりあえず、その3ヵ所さえ行ければ生きていけると思って(笑)

 

—–その3ヵ所があれば確かに生き延びられそう!(笑)富山は車がないと移動が不便なので、移住者にとってまず最初の関門になりますね。2年経ちましたが、今はだいぶ慣れましたか?

 

佐田さん:だいぶ慣れましたね。最近も朝日町までドライブしてきました。一応、富山県内の市町村は全て制覇しました(笑)

 

 

—–え~すごい!私でもまだ行ったことのない市町村あるのに。富山県民よりも富山を知り尽くしてそうですね(笑)

 

佐田さん:そうかもしれません(笑)よくコロナ前は、私が移住者だと知ると、周りの方々が富山のおすすめ観光地に連れて行ってくれたんです。富山の方々って、とても優しいですよね。私が少し元気がないと、心配してすぐ声をかけてくださったり、ご飯に連れて行ってくださったり、富山の方は元気で親切というイメージがあります。

富山に住むいろんな方々との繋がりも、一番初めのきっかけは社長に連れていってもらった集まりの場で。今では仲の良い同い年の友人もできましたし、同じ岐阜県出身の仲間もできました。

 

—–富山の仲間がたくさん出来たのですね!仲間ができると、プライベートもより充実しますよね。住んでみて、富山の印象は変わりましたか?

 

佐田さん:実際に住んでみて、やっぱりご飯の美味しさに一番驚きましたね。美味しすぎて、ひたすら太っていくという……(笑)

 

—–やっぱり食ですよね!富山は美味しいものがたくさんあるので。何が一番美味しかったですか?印象に残っているものがあれば教えて下さい。

 

佐田さん:富山でまず感動したのが、ふくらぎ。スーパーの鮮魚コーナーで「ふくらぎ」という表示を見つけて、「なんだ、これは?」と衝撃を受けて(笑)おまけに隣には「のどぐろ」もあって、私「のどぐろ」も知らなかったので、ダブルの衝撃でした。岐阜県ではなかなか見かけないので。

 

—–ふくらぎって、岐阜県にはないのですね!(驚)確かに富山県のスーパーの鮮魚コーナーは、本当にレベルが高いですよね。私もUターン移住者なので、その充実度を日々実感しています。新鮮さも美味しさも全然違う気がします。

 

佐田さん:全然違いますよね。それに富山には美味しい回転寿司のお店も多くて感動しました。

 

—–分かります、回転寿司のレベルも高い!回らない寿司レベルですもんね。ずっと富山に住んでいる方々にとっては、当たり前のように感じるかもしれませんが、富山には美味しい食べ物が溢れているので、本当に贅沢だとつくづく感じますね。

 

 

—–休みの日はどのように過ごしているのでしょうか?何かハマっている趣味などありますか?

 

佐田さん:実は最近習い事をしているんですが、「ビスク・ドール」ってご存知ですか?陶器で作られたフランス人形のことで、富山県では唯一射水市にビスク・ドールを作る教室があるんです。

 

—–「ビスク・ドール」初めて知りました!陶器のお人形づくりって楽しそうですね。

 

佐田さん:とても楽しいですよ。教室を見つけたのは偶然だったのですが、私もともと人形を集めるのが好きで、その延長線上で「人形を自分で作ることができる教室があるんだ」と興味がどんどん湧いてきて。
理想の子が作れるかもしれないって(笑)作り方が、なんとなく金型に似ているので、その点でもハマった理由かもしれません。

 

—–なるほど~(笑)やっぱり佐田さんは、とことんものづくりが好きなんですね!

 

金型で描く、新たな夢を

—–この春から株式会社フジタに入社して3年目に突入しますが、これから挑戦してみたいことや夢はありますか?

 

佐田さん:現在はお客様からのご依頼を受けて金型を作り納品することが多いのですが、いつか社内で企画して作った金型で、何か新しいものを作っていけたらいいなと思っています。

 

—–とても素敵ですね!佐田さんのような若い社員が、新しいことに挑戦したり夢を持てる会社って素晴らしいなと思います。

 

佐田さん:フジタは、自分がやりたいことを言えばどんどん挑戦させてくれる環境があるので、これからもっと経験を積んで、積極的にチャレンジしていけたらいいなと思います。

 

—–今回取材をさせていただき、文系出身で全くものづくりとは無縁だった佐田さんが、今では金型産業の未来を支えるものづくり女子として頑張っている姿がとても印象的でした。

佐田さんの場合は移住ツアーに参加したことがきっかけだったように、どんなところに人生のターニングポイントとなるきっかけが待っているか分からないなと実感しました。
佐田さんがこれからどんな活躍をしてくれるのか、私も楽しみで仕方がありません。本日はありがとうございました。

 

株式会社フジタ

《公式サイト》株式会社フジタ