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【インタビュー】ママに寄り添い、助け合える社会を/宿り木助産院 紙尾 千晶さん(後編)

「宿り木助産院」を営む紙尾 千晶さんは、ドイツの子育てしやすい環境や子ども達の未来について関心を持った人々の暮らし方から学んだことを、帰国後「ドイツで出産した助産師のお話会」の開催や、頑張るママに寄り添った各教室を通じて、多くの人たちに伝える活動をされています。

引き続き後編では、育児で大切にされていることや、これからの夢について伺いました。

 

前編はこちら

まずは自分から頼ってみる


————大変だと感じることはありますか?

 

紙尾:楽しくやらせてもらっているので、あまりないんですけど。

しいて言えば、駐車場の確保ですかね(笑)

小さな子ども連れのママ達はみんな車で来られるし、チャイルドシートを乗せているから乗り合わせも難しいし。助産院の前にも一応数台停められるし、近くに有料駐車場もあるにはあるんですが。

 

————確かに!!北陸では駐車場の問題、結構悩んでいらっしゃる方多いかもです。特にママ達には必須ですよね。

 

紙尾:ただ最近、ご近所さんの ご厚意で、仕事などで不在にしている昼間に空いている駐車場を使わせて頂けることになって。

そのお願いをするときも、私の中では迷惑をかけてしまうのでは・・・と高いハードルがあったんです。けれど、ここは甘えられる人になろうと思って。ご近所さんと頼り頼られの関係を作るきっかけにもなればと思い、勇気を出してお願いしに行きました。

その結果、有難いことに快く貸してくださって、ご近所さんの力もお借りしながら今頑張っています。

 

————頼ることが苦手だった紙尾さんですが、ハードルを乗り越え、勇気を出して行動されたんですね。ご近所さんからの温かなサポートも、紙尾さんを支えているんですね。

 

紙尾:小さなお子さんがいるご家庭だったり、年配のご家庭だったり、家庭のカタチはさまざまですが、ゆくゆくはお互いに交流したり助け合えるコミュニティができるといいなと思っています。

お互い助け合える関係を築くためにも、まずは自分から行動することが大切なんだと思います。

 

余裕があれば何でもユーモアに

————紙尾さんは、3人のお子さんを育てるママでもありますが、仕事と家庭の両立で心掛けていることはありますか?

 

紙尾:子どもは色んな環境の中で育つと考えているので、おばあちゃんに預けたり幼稚園の延長保育を利用したりするのは、積極的にやっています。

子どものために私が必ず家にいてあげたいというのは無くて、子どもは子どもで育つし、むしろいろんな人と関われた方がいいかなって思っています。

あとは、自分の気持ちに余裕を持つこと。

気持ちに余裕があれば、どんなに子ども達が喧嘩をしていたり暴れていても、どんなに夫の帰りが遅くても、そんな状況もユーモアに変えられちゃうのかなって。

自分のやりたいことをやる。これも自分を大切にすることに繋がっているんですけど。気持ちがいっぱいいっぱいにならないように気を付けていますね。

 

————気持ちの余裕一つで、捉え方が全然変わってきますもんね。余裕がないと、つい小さなことでイラッとしたり・・・悪循環になっちゃうんですよね。とても勉強になります!

 

紙尾:それと、子ども達の様子を見ながら少し気になったときは、しっかり向き合う時間を作るようにしています。

例えば、一番上の子とは、定期的に2人だけでデートする日を作っています。
2人だけの時間を作ることで、子どもの心も安定していると感じるので、今でも大切にしていますね。

真ん中の子は、なんでもチャチャッとやるタイプ。でも、放っておいたら何でもやっつけ仕事になりがちなので、宿題の時間は横でしっかり見てあげるようにしています。

 

————お子さん一人一人の性格や特徴をしっかり理解しながら、向き合う時間を大切にされているんですね。

紙尾:育児に関しては悩みばっかりですけれど(笑)大事だと思う場面ではしっかり気をかけて、すぐ修正できるようにしたいと思っています。

 

楽しく笑顔のママが一番

————助産院を開業されて約半年になりますが、これからの夢はありますか?

 

紙尾:ここをきっかけに色んな繋がりを見つけて、社会や環境にも目を向けられるママ達が増えればいいな・・・という想いがベースにある中で、それでも「目の前の育児で精一杯で、それどころじゃない」という方も多いと思います。

だから、日々コツコツと、ママ達のいっぱいいっぱいの気持ちに寄り添いながら、一つ一つの問題を解決しながら、それで止まらずもう一歩先へ行ける、そんなきっかけの場でありたいと思います。

今はコツコツと、この活動を頑張っていきたいなと思っています。

あとは、命を大切にすることにもっと関わっていきたいと思います。

性教育や命の講座を、小中学校などの場で行っている助産師の先輩方も多いので、私も勉強していきたいなと思います。

命の大切さについて、家庭でも親が子どもに伝えられることが当たり前の社会になればいい。

そんな想いを持って活動されている助産師の先輩方から私も学んで、いずれ私の口からママ達にも伝えていけたら・・・。ママ達もそれを子ども達に伝えられるようになればいいなって思います。

 

————子ども達が当たり前に小さい頃から教わることができれば、きっと社会も変わってくるでしょうね。最後に、仕事や育児に頑張るママ達に向けて、アドバイスを頂けますか?

 

紙尾:ママが幸せであることが本当に大切!ママ達が明るく楽しく過ごしていたら、家族もみんな、社会も未来も明るくなると思うので。

自分の人生を笑って楽しく過ごすためには、何が大切なのかを自分の心にきいてみてほしいですね。私の場合は、気持ちに余裕ができる時間配分だったと思います。いかに自分の人生を思い切り生きることができるかが大事だと思います。

 

————「ママの笑顔が家族みんなの笑顔」って言いますもんね。ママ自身が、もっともっと人生を楽しく生きることが大切なんですね。紙尾さんも、今思い切り人生を生きることができていますか?

 

紙尾:そうですね。今年ちょうど40歳になって、「これから残りの人生どう生きたいか?」を考えたときに、死ぬときに「やれることは全部やった。あとの未来は子ども達に託そう!」って思えるのが理想だなって。

社会情勢や環境問題のニュースが頻繁に流れる中で、子ども達が大人になったときには地球が危ない、そんな状況になったとしたら・・・。子ども達に「なんで何もしてくれなかったの?」と言われて、「ママだって余裕がなかった。知らなかった。」とは言いたくないなって。

もちろん私一人で社会を変えられるわけじゃないけど、「ママはやれることは全部やったよ」と胸を張って言える自分でいたいと思います。

だから、今も未来も両方大切にしたいと思える、それを自分事として考えられるママ達が増えていくよう、命ある限り活動を続けていきたいです。

 

————子ども達の未来を考えると、私たちが今知らんぷりしているわけにはいかないですね。

 

紙尾:自転車を乗り出すときに、よろよろとしている所を後ろで支えて後押ししてあげられるような、そんな存在になりたいなと思います。ちょっと後押ししてあげるだけで、自分で走り出せるパワーを持ったママ達ばかりなので。

 

————そうですね。私自身、恥ずかしながら今までなんとなく他人事だった未来や社会のことが、今日お話を聞いてもっとちゃんと自分事として向き合っていかなければならないと強く感じました。

ママ達に寄り添って、温かく包み込んでくれるような紙尾さん。育児はとっても大変、それでもママ達自身がもっと楽しくイキイキと生きられるように、そして子ども達の未来まで目を向けられるように。これからも紙尾さんの活動に期待しております。本日は貴重なお話をありがとうございました。


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