金沢の伝統工芸・加賀水引や、金沢箔を使ったハンドメイドアクセサリーを制作・販売している「EaluZakka(えあるざっか)」の木村 春名さんを取材しました。
前編では、ハンドメイド作家として活動を始めたきっかけや子育てとの両立についてお話を伺いました。
後編では、ハンドメイドアクセサリー制作のやりがいや魅力、そしてこれから挑戦していきたい夢など、木村さんの現在から未来についてフォーカスしたいと思います。
《前編はこちら》
奥深い魅力の溢れる、1点モノの世界
—–ハンドメイドアクセサリーを制作販売されている中で、一番のやりがいは何ですか?
木村さん:やっぱりイベント出店の際に、わざわざインスタグラムを見て足を運んでくださったお客様の「これ欲しかった」とか「どっちにしようか迷う」という声を聞いたときが一番やりがいを感じますね。
あと、委託販売先の担当者の方から「今このデザインが人気あります」とか「お客様から好評ですよ」という生の声が聞けるときも嬉しい瞬間ですね。また頑張ろうって思えるんです。
—–確かに、お客様からの生の声って貴重ですよね。特にイベントでは、自分の作ったものが売れていく瞬間に立ち会えるので、作家冥利に尽きますね。
—–このレジンを使った金沢箔のアクセサリー、神秘的な輝きがまるで宝石のよう。
聞くところによると、「箔一」さんの箔材料を使われているのだとか。
木村さん:そうなんです。水引のワークショップでもお世話になった伝統工芸ディレクターの若岡 和奏さんにご紹介して頂いて。
ちょうど今、ひがし茶屋街にある「箔一」さんのセレクトショップ「かなざわ 美かざり あさの」さんに私の作品を販売してもらっているんです。
—–箔一さんの箔材料と、木村さんの技やセンスが融合することで、こんなに美しいアクセサリーが誕生したんですね。金沢の伝統工芸である箔を、より身近に日常で取り入れることができるって嬉しいですよね。
木村さん:金箔、銀箔、銅箔、そして真鍮青口箔と真鍮赤口箔、それぞれ異なる魅力があってどの種類も大好きなんですが、中でも一番人気は真鍮青口箔かな。真鍮青口箔のアクセサリーは珍しいので。
—–思わずため息が出るほどの美しさに、惚れ惚れしちゃいます。独特な雰囲気といろんな表情を見せてくれる真鍮青口箔アクセサリーって、ひとつとして同じものは作れないんですよね?
木村さん:そうなんです。似たような作品を作って欲しいと言われれば、ある程度似ているものを作ることはできますが、それでも全く同じものにはなりません。特に真鍮青口箔はいろんな色が混ざっているので。だから、どの作品も世界でひとつしかない1点モノなんです。
—–少しの違いで、雰囲気もガラリと変わりそうですもんね。
世界でたったひとつの1点モノだなんて、ロマンがありますね。自分好みのデザインを探す楽しみもありますね。
—–金沢箔アクセサリーの一番こだわっているところは何でしょうか?
木村さん:アクセサリーの手触りを良くするために、表面を丁寧に磨き上げていることです。
私の場合、磨きは3行程に分けて仕上げており、それぞれ異なる目のやすりを使用しています。
粗い目、細かい目、さらに細かい目、この3種類のやすりを順番に削って、削って、削って。
その都度手で触って感触を確かめながら、また削って……。1時間以上ひたすら磨き続けることも多いんです(笑)
—–ひえ~!!かなり根気が必要ですね。木村さんが心を込めてひたすら磨いてくれるからこそ、つるつるの心地よい手触りと輝きが生まれるのですね。恐れ入りました!
たくさんの出会いを、成長の糧に。
—–これからチャレンジしてみたいことを教えて下さい。
木村さん:金沢をテーマにした作品を作っているので、金沢を基盤に活動をしながら、もっと多くの方々に「EaluZakka」のアクセサリーを知って頂けるよう頑張っていけたらいいなと思っています。
ゆくゆくは、金沢以外にも活動の場を広げていきたいなと考えています。
例えば富山県の立山町で毎年開催されている「立山Craft」ってご存知ですか?
たくさんのハンドメイド作家さんが集まる大きなイベントで。
いずれ、そのような他県で開催されるイベントにも出店していけたらいいなって。
—–「立山Craft」イベント、知っています!私も大好きなイベントなので、ぜひ出店してほしいです。金沢はもちろん、もっと多くの方々に木村さんのアクセサリーを見てもらう機会が増えればいいなって思います。
木村さん:あと最近、加賀友禅の生地を使ったつまみ細工にも挑戦したいなと考えていて。
早く一人前の作品が作れるよう、今まさに技術を習得している最中なんです。
他にもやりたいことがありすぎて、1日24時間じゃ足りないくらい(笑)
子供たちがもう少し成長すれば、もっと挑戦できることも増えてくるかなと思っているので。
いつか自分の素敵なお店を立ち上げることができたらいいなという夢を持って、頑張っていきたいなと思っています。
—–常に色々なことに挑戦されている攻めの姿勢が、木村さんの「強さ」でもありますね。
木村さんなら、夢を必ず実現させてくれると信じています。最後に好きな言葉を教えて下さい。
木村さん:「やると決めたら、最後まで全力でやり通す」ですね。
高校時代、インターハイを目指している空手道部に入部したとお話しましたが、空手がめちゃくちゃ下手だったんです。先生からも「マネージャーでもいいよ」と言われる始末で(笑)
でも、黒帯を取るまでは辞めないと決意して頑張り続け、最終的には黒帯も取りました。
今の仕事も、「金沢をテーマにものづくりをする」と決めたからには、どんなことがあっても真剣に全力で取り組んで行きたいと考えています。
—–木村さんらしい、芯が通った力強いお言葉です。空手も黒帯を取得されたんですね。素晴らしい!
木村さん:あとは「一期一会」ですね。現在お世話になっているアクセサリーの委託販売先もそうですが、イベントの出店など「こんな作家さんを探しているのですが、どうですか?」と、主催者の方からお声がけを頂くことが多いんです。
つくづく私の活動は、周りの皆さんからのご縁で成り立っているなと感じていて。本当に感謝しかありません。
—–一期一会、大切にしたい言葉ですよね。きっとたくさんのご縁が繋がっているのは、日頃から周りへの感謝の気持ちを忘れない木村さんの力でもあると思います。
これからもご縁がご縁を生み、さらなる挑戦の場も増えそうですね。
木村さん:実は2021年4月から、金沢市の21世紀美術館が実施している「まるびぃ Art-Complex」での出店が決定したんです。
「まるびぃ Art-Complex」は、週末に21世紀美術館の広場や交流ゾーンでイベントやワークショップを開催し、訪れる人々の交流を促す取り組みのことで、今期はカフェやマーケット、パフォーマンス、ワークショップの4部門70団体が参加されるそうで。
私はマーケット部門で認可をいただき、この1年間は定期的に出店できることになりました。
—–すごい!おめでとうございます。
金沢をテーマにされている木村さんの作品は、21世紀美術館とも相性バッチリですね。加賀水引や金箔アクセサリーは金沢のお土産にもピッタリなので、観光客の方にも注目されそうですよね。
木村さん:21世紀美術館は、私自身とても好きな場所でもあるので本当に嬉しくて。楽しみで仕方がありません。
銀行で働いていた頃や家事育児に専念していた頃は気付かなかったのですが、こんなにも金沢で活躍されている女性が多いということに、この仕事を始めたおかげで知ることができました。
自分で事業を立ち上げた女性の方々と関わりを持てるようになって、たくさんの刺激や学びを日々頂いています。
私も一つひとつのチャンスを大切に、これからどんどん活躍の場を増やしていけたらいいなと思います。
—–金沢には、育児や家事と両立しながら活躍されている女性が本当にたくさんいらっしゃいますよね。
私も毎回取材をしながらたくさんの刺激を頂いております。
21世紀美術館でのイベントは、同じ作家さん同士で交流できる機会も多いかと思いますし、普段なかなか出会えない方々との出会いが、また新たな作品づくりのヒントにもなるかもしれませんね。
木村さんの新たな作品を想像するだけで、ワクワクしちゃいます。
木村さんの想いが詰まった作品たちが、これから金沢の伝統工芸やものづくりの世界をさらに盛り上げていってくれることを期待しています。本日はありがとうございました。
EaluZakka(えあるざっか)