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【インタビュー】私は藍染め作家ではなく藍染め屋さんでいたい。(後編)/南部 歩美さん

自然豊かな魚津市鹿熊の古民家で、「藍染め屋aiya」として活動している南部歩美さん

藍染め体験などを通して藍染めの魅力や里山での暮らしの魅力を発信しています。

前編では、藍染めとの出会いから活動を始めるまでの葛藤や想い、子どもや家族との絆についてお話を伺いました。
引き続き後編では、藍染め体験のことや今後についての想いをご紹介します。

≪前編の内容はコチラ≫

【インタビュー(前編)】私は藍染め作家ではなく藍染め屋さんでいたい。/南部 歩美さん

里山での暮らしに藍を

——2018年の冬に、この鹿熊という里山に移住されたんですよね。住みやすさはいかがですか?  

南部:鹿熊、すごく良いんですよ。自然も村の人達も温かくて。村の方々も、私が藍染をやっていることも喜んでくれていて。 

初めは、染め体験に来られるいろんな方が村を出入りすることになるので、どう感じるか一番不安ではありました。でも、知らない方が村に来ることをプラスに感じてくださる方が多くて。

今では、村の雰囲気や自然も、参加者の満足度を上げるポイントになってるんです。
藍染め体験に来られた方にも、鹿熊の良いところを知ってもらえるきっかけになるかなと思ってます。  

——体験の参加者は、藍染めはもちろん、村の魅力も感じることができるんですね。 体験に来られる方は、どんな方が多いんでしょうか?  


南部:藍染め体験は初めての方も多いですよ。  
家族でだったり友達同士でだったり、人伝いに聞いて来てくださる方もすごく多くて。

人が人を呼んでくれるってこういうことなんだなって、ありがたく感じてます。  

——口コミのチカラって大きいですよね。それだけ参加者の満足度も高いんだろうな。 藍染め体験は、どんな内容なんでしょうか?

南部:今はまだ、きちっとしたプログラムはないんです。
ハンカチとかは用意があるので、手ぶらで来てもらってもいいですし、Tシャツなど自分の染めたいものを持参してそれを染めることもできます。ある意味、臨機応変に(笑)

同じ日に、みんな染めるアイテムが違ったりもするので、他の方の染めているものを見て「それもいいね!今度染めてみよう」と、後日また染めに来てくださったり。  

一人一人、模様も色合いも全く違うので、世界で一つのものを持ち帰ることができるんです。

——みんな違うものが出来上がるからこそ、楽しみもありますね。 そういえば、藍染めの染め液のことを「藍ちゃん」と呼ばれているんですよね!

南部:そうそう、藍ちゃん!だから私には、娘が2人と藍ちゃんが2人いるんで、子どもが4人いるんですよ(笑)藍ちゃんは、私にとったら子どもと一緒なんです。

頑張らせすぎると、藍ちゃんも疲れちゃうんです。次の日バテちゃって、どうしてもいい色が出せなくなっちゃう。 
だから、こっちの都合ばかり考えないで、待ってあげる。藍ちゃんのペースに合わせることが大切なんです。 

これは、子育てにも通じることかなと思ってて、藍ちゃんから子育てのヒントをもらうことも多いんです。 

体験に来てくださる方にも、藍ちゃんの調子によっては染められないこともある、ということを誤解のないようしっかり説明して、理解して頂くようにしています。

小さなステップでも景色は変わる

——これから、藍染め屋としてやってみたいことはありますか?

南部:やっぱり、今私が心地よく仕事をできているのは、私や家族を受け入れてくださった鹿熊のみなさんがいたから。  

このご縁や出会いに支えられて、藍染め屋aiyaとして活動できていると思っているので、ゆくゆくはこの地域にも還元できるようになればいいなと思ってます。 


それに、藍染め屋としての仕事を子ども達にも知ってもらいたい。  
私もそうでしたが、若い時って都会に憧れるじゃないですか(笑)

でも今は本気で「都会じゃない地方には、都会にはない大きな可能性がある」と確信しています!
だから、みんなが生まれ育った富山でも、仕事があるし、仕事を生み出せる、課題だらけの限界集落でも仕事ができる、それを証明できる第1人者になりたいと。

「富山って何もないと思っていたけど、なんでもあるんだ!」ということを発信していきたいですね。自分の頑張りを通して、こんな道もある、こんな可能性もあるということを伝えていきたいです。

——都会に行かなくても、富山でなんでもできる!という夢を、富山の子ども達にも描いてほしいですね。 南部さんが藍染めに一番惹かれる部分って何だと思いますか?

南部:染め液から藍色が生まれる瞬間ですね。
青色をしていない染め液から青が生まれる。毎回不思議だなぁって感動するんです。

あとは、藍染めと同じくらい人が好きなので。 
この仕事を通して出会えた人達がとても多くて。 

体験に来てくださる方々は、私にとってはお客様以上で、友達のような感覚なんです。  
「今日は何名こられました」というより、「また〇〇ちゃん来てくれた!」って感じ(笑) 

藍染めを通じて人と出会えることが魅力だし、財産だし、一番価値が高いなって思います。 

——お友達の家に遊びにくるような(笑)南部さんはとっても明るくて気さくなので、きっと南部さんに会いにくる参加者の方も多いんだろうと感じます。体験も楽しい雰囲気なんだろうなと。

南部:もしかしたら、藍染めをしてなくても出会っていた人もいるかもしれない。けれど、絶対藍染めのおかげでこれだけ多くの人達と出会えたと思うので。 

藍染め体験に来ているのに、始める前に30分くらいおしゃべりしちゃって…とか結構あるんです(笑)おしゃべりして、体験もして、楽しんで帰ってくださるのが、私も一番楽しいんです。 


私いつも言うんです。「私は藍染め作家じゃなくて、藍染め屋さんでいたい」って。

この藍染めの活動もいろんな方に助けてもらっていると実感していて感謝しているからこそ、「自分一人で完成させるものづくりじゃなくて、いろんな人と作り上げるものづくり」を大切にしています。

一緒に時間やその場の空気を共有して、想いも共感し合う…染め体験もみんなで作りあげるものだと思うんです。


昔は身近な染料だった、藍染め。 
今は高いイメージになってしまいましたが、私は町の八百屋さんや肉屋さんのような立ち位置でいたいなって。 

だから、あえて作家じゃなくて藍染め屋さんとして、日常の中に溶け込みたいと思っています。

——暮らしの中にある、身近な立ち位置を大切にされているんですね。  藍染めを始めるまでの南部さんのように、やりたいことがあるけど踏み出せない、そんな方もきっと多いはず。そんな女性に向けて、アドバイスを頂けますか?    

南部:最初から完璧なんて求めないで、小さなステップでもいいのかなって。 
初めから大きな資金投資をしてとか、ビッグステップを踏むのは怖いじゃないですか。 

ましてや、女性で子どもがいる場合、なかなか新しいことにチャレンジするって勇気がいると思うし。 
小さなステップでもいいから始めてみたら、始める前とは違う景色が見えるんです。  

私も自分のしたいことに向けて、小さなステップを踏み続けて、小さな失敗もしたけどその分小さな成功も積み重ねてきたので、藍染めを嫌いにならずにここまで続けてこられたので。

——小さな積み重ねが、今振り返ると大きな変化になったんですね。  

南部:そうですね、小さな一歩は時間もかかるし効率も悪いかもしれません。でもその繰り返しで、大きく変われると思います。  
小さいステップは小さい変化しかないと思うかもしれませんが、その一歩で確実に景色は変わると思いますよ。

——小さな一歩でも、歩き始める前とは確実に変われる。 
「藍染めをやりたい!」そう心に決めてからこれまで、変わらない芯を持ち続け、小さなステップでも一歩づつ確実に歩んできた南部さん。  

そんな真っ直ぐでありのままの生き方が、周りにいる多くの人達を惹きつけるのだろうと、お話を伺い改めて感じました。 

私自身、南部さんの人柄にとても惹かれ、また鹿熊の美しい自然にもパワーをもらいました。 素敵なお話をありがとうございました。 

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