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【地域おこし協力隊インタビュー/加賀市】子どもたちの「夢への一歩」を、私がつなぐ。/古岡 史帆さん

歴史ある有名な温泉郷を有し、九谷焼や山中漆器などの伝統工芸も盛んな「加賀市」。

近年では、2017年から全国に先駆けて小・中学校でプログラミングの授業を導入するなど、デジタル教育の先進地として注目を集めています。

今回は、子ども向けテクノロジー施設「コンピュータクラブハウス加賀」(2019年開所)で活動されている、地域おこし協力隊の古岡 史帆さんを取材しました。

加賀市地域おこし協力隊 古岡 史帆さん

大阪府出身。前職ではIT関連会社の営業職を経験。

2021年4月「加賀市地域おこし協力隊」に着任。「コンピュータクラブハウス加賀」を日本中に広める広報・渉外活動はもちろん、子どもたちとさまざまな人たちをつなぐ役割として幅広く活躍している。

日本初テクノロジー施設での挑戦

—–本日は、加賀市地域おこし協力隊の古岡さんにお話を伺います。現在、古岡さんは加賀市に日本に初めて設置された、米国発祥の子ども向けテクノロジー施設「コンピュータクラブハウス加賀」の運営に関わっているそう。プログラミング教育を積極的に推進する加賀市の活動は、私自身とても興味があります。普段は、どのような活動をされているのでしょうか?

古岡 史帆さん(以下、古岡さん):2021年春に新しく拡充された加賀市地域おこし協力隊には、私を含めて2名が着任しました。もう1名の地域おこし協力隊が、主に「コンピュータクラブハウス加賀」の運営を担っており、内側の部分から円滑にまわす役割で活動しています。一方で私は、「コンピュータクラブハウス加賀」の外側の部分、つまり渉外役を担っています。

—–なるほど。地域おこし協力隊として、それぞれ主体的に担うミッションがあるのですね。古岡さんの行っている渉外役は、どのような場面での活動が多いのでしょうか?

古岡さん:さまざまなイベントでの広報活動や、高校・大学などの教育施設や企業との連携を図るなど、「コンピュータクラブハウス加賀」の発展に関わる業務を行っています。「コンピュータクラブハウス加賀」に通っている子どもたちを知ってもらうきっかけになったり、潜在的に興味を持っている子どもや親に向けてPRする場にもなったり……私が担う役目には、子どもたちの活動の幅をさらに広げる目的があるんです。

あくまで主役は「子供たち」

—–学校や企業、地域と子供たちをつなげる大切な役割なのですね。今回の取材は、「コンピュータクラブハウス加賀」でお話を伺ったのですが、機材の充実さ・種類の多さにビックリ!真ん中にはコタツがあったり、ギターがあったり、大人もワクワクしちゃいます。子どもたちの普段の過ごし方について教えて下さい。

古岡さん:ここのコンセプトとして、子どもたちが自分の好きなことやしたいこと、得意なことをどんどん追求していける場を目指しています。なので、ここでは大人が子どもたちに何かを教えるというスタイルはとっていません。「機材がたくさんある図書館」のような感じでしょうか。大人はあくまで見守り役。子どもたちが「これがしたい」と言ったときに、その手助けができるメンターが常駐しています。

—–子どもたちが自発的にやりたいと言ったことを、大人がサポートするスタイルなのですね。

古岡さん:ここでは、DJブースや3Dプリンターなど、普段なかなか他では触ることができないさまざまな機材を、好きなときに好きなだけ利用できるのが魅力ですね。通っている子どもたちの中には、ペンタブレットで自分のキャラクターを作成している子もいますし、夢中でプログラミングをやる子もいますよ。

—–わ~楽しそう!小学生や中学生の頃から、最先端の技術に触れられるなんて羨ましいです。我が子をぜひ通わせたくなります(笑)

古岡さん:また、「コンピュータクラブハウス加賀」での活動は、学校外で行う部活動と同等と認める活動とされています。ここでは、小学生から高校生まで年齢層が幅広いのも特徴ですね。中学生が小学生にルールを教えてあげる光景もよく見かけます。撮影機材を使う順番や、施設のルールづくりなど、子どもたちが主体となって決めていけるようにしています。大人が枠組みを決めるのではなく、子どもたちと一緒に創っていける、そんな場所なんです。

—–なるほど。自分たちでルール決めなどを行うことによって、この場所をより「ジブンゴト」として考えることができそうですね。

加賀から日本中につなぐ、デジタル教育の基盤づくり

—–地域おこし協力隊に着任して数ヶ月経ちましたが、活動の中でのやりがいや楽しみは何でしょうか?

古岡さん:初めの2ヶ月間はとにかく慣れるのに必死で。ここにあるような機材には全く触ったこともなかったので、分からないことばかりでした。ただ、自分がやりたいことに対して、周りが「じゃあ、そのためにどうしようか?」と意見を受け止めてくれて、話し合いができる環境があるので、とてもやりがいがありますね。

—–意見を尊重してくれるカルチャーなのですね。

古岡さん:そうですね。また、この「コンピュータクラブハウス」は、日本では初めて加賀市に誕生し、現在日本中に広めていこうと頑張っている真っ只中なんです。今後、日本中に広げていくための基盤づくりだと思っているので、加賀市で実践したことがどんどん広がっていく……とても面白い仕事だなと実感しています。

—–加賀市が見本となり、これから日本各地に2号、3号と広がっていくのですね。ここで得られた一つひとつの経験や知識が、きっと後に続く施設の糧になるだろうな。逆に大変なことはありますか?

古岡さん:よくも悪くもまだ道がない状態なので、好きなことができる分、自分で道を切り開いていかなければならないところ。面白い反面、難しさも感じますね。

—–確かに、トップランナーは追いかける人がいない分、自分で道を作らなければならない難しさってありますよね。難しさと言えば、幅広い年齢層の子どもたちとの接し方はいかがですか?

古岡さん:子どもたちへの接し方に関しては、「子ども扱いをしない」ということに気をつけています。私たち大人が何かを与えなければならない対象として、子どもを見ないように心がけていますね。先生と生徒という関係ではなく、近くにいるお兄さんお姉さんという感じ。何か困ったことがあれば何でも聞ける……そんな存在でありたいですね。なので、なるべく「これやっちゃダメ、あれやっちゃダメ」とは言いたくないですし、「子どもだから……」という見方はしないようにしています。

—–常に対等な立場で、子どもたちと接されているのですね。きっと子どもたちがイキイキと活動できるのは、古岡さんたち周りの大人が子どもたち一人ひとりをしっかり尊重していることが繋がっているのかもしれませんね。活動していると、子どもたちから刺激を受けることも多いのだろうなと感じますが……。

古岡さん:たくさんありますね!自分が本当にやりたいことに向き合っている子どもたちって、学ぶスピードがとても早くて。人に聞いたり、本を読んだり、インターネットで調べたり、分からないことを解決する方法をいくつも知っているんです。自分で調べて解決する能力がとても高くて驚かされます。

—–すごいですね!子どもたちは飲み込みも早いですし、発想力も豊か。そういう姿を見ていると、とても刺激になりますよね。

古岡さん:先日も、プログラミングを使って車を作った子どもたちがいて。私だったら本やネットで作り方を調べて作っちゃうと思うのですが、子どもたちは自分で考えて、教科書とは別の方法で作っちゃうんです。すごいな~っていつも感心します。

—–私も本を見て、その通りに作ると思います(笑)大人も子どもも、いろんな価値観や個性を持った人が集まっているからこそ、刺激を受けますし、面白さもありますね。

子どもたちのキャリアの幅を広げるために

—–地域おこし協力隊として、これから挑戦したいことを教えて下さい。

古岡さん:「コンピュータクラブハウス加賀」で活動する子どもたちの今後のキャリアや、将来やりたいことの幅を広げることですね。せっかく身につけた経験や知識をここだけで終わらせてしまってはもったいない。そんな思いもあり、子どもたちの「次への一歩」を後押しできるよう活動していきたいと思っています。

—–そうですね。もちろん趣味で楽しむのも一つですが、ここから更に活躍できるフィールドがあれば、子どもたちの将来の選択肢も増えますね。

古岡さん:外部講師による動画制作ワークショップの実施や、グローバルなIT企業の経営者の方々にキャリアについてインタビューする企画など、これまでも年に数回イベントを開催されていました。私も少しずつ、これらのキャリアを考えられるようなイベントにも関わる機会が増えてきたので、もっと幅を広げていきたいなと思います。また、現在は県外の企業とのコラボが多いですが、身近な企業や観光施設などの地域の方々とも関わる機会を増やしたいです。「コンピュータクラブハウス加賀」の子どもたちには、身近な場所にもどんどん出ていけるような場を提供していきたいです。

—–素敵ですね!子どもたちにとって、社会の中で活動する貴重な経験になりますね。企業と子供たちをつなぐ大切な架け橋的な役割を担う古岡さん、とてもカッコいいですね!

さまざまな文化や価値観が共存できる場を

—–最後に、加賀市の魅力について教えて下さい。

古岡さん:加賀市の人たちは、ほどよい距離感を保ちつつ、いざというときには必ず助けてくれます。シャイな人が多いのかもしれませんが、一度輪の中に入るととても親身になってくれます。移住当時は、コロナの影響でどの店も閉まっており、友人を見つけるどころではありませんでした。ただ、地域のイベントに参加するうちに、知り合いも少しずつ増えて……みんなでボードゲームを楽しんだり、健康のために夜ウォーキングをしたり、いろんな集まりにも誘ってもらい、どんどん仲間もふえていきました。

—–仲良くなると家族以上に気遣ってくれて、大切にしてくれる。確かに、そんな地域性ってあるのかもしれませんね。

古岡さん:私は実家が大阪なので、家族に近い存在が近くにいてくれるのは有難いですね。本当に親切な方が周りには多いので。同世代の友人もたくさん出来ましたし、「私を加賀の母だと思いなさい」と言ってくださる年上の方もいます。とても心強い存在ですね。

—–いつでも頼れる仲間が近くにいるだけで、安心感が生まれますよね。初めての地域に移住された方は尚更だと思います。ちなみに、休日の過ごし方は何をされていますか?

古岡さん:加賀市に来てからずっと続けているのが、スパイスカレー生活です。もともとカレーを作るのが趣味だったのですが、コロナの影響で家の中で過ごす時間も多かったこともあり、だったら何か面白いことをしようと決めて、スパイスカレーしか作らない生活を始めました(笑)なので、ほぼ毎日スパイスカレーを食べてます!

—–え~すごい!!毎日スパイスカレー生活ですか!やることが大胆ですね(笑)でも、美味しそう……。

古岡さん:友人に物件を紹介してもらい、古民家を自分の事業所として借りているのですが、そこにはアイランドキッチンがあるオープンスペースがあるので、カレー含めた飲食関係のワークショップなどを月に数回開催しています。これからは地域のお母様方などを対象にした、体調に合わせたスパイスカレーの作り方ワークショップなど、イベントの対象や幅を増やしていきたいと考えています。

—–スパイスカレーのワークショップ、楽しそうですね。なかなかスパイスから調合するのは難しいので、教えてほしいママは多いはず!

古岡さん:最近ではその事業所で、とある画家さんのギャラリーを開催しました。「コンピュータクラブハウス」もその一つですが、私はいろんな価値観の人が交わり合う場所を創りたいという思いがあって。なので、自分で運営しているオープンスペースと「コンピュータクラブハウス加賀」を関連させてやりたいことがたくさんあるんです。例えば、子どもたちが作った作品を見てもらう機会をもっと増やすために、スペースを活用したいという夢もあります。地域で活躍されている作家さんの作品と一緒に、子どもたちの作品を展示させてもらったり。

—–子どもたちの作品がさらに多くの人の目に触れさせることができるのですね。子どもたちの作品展示、カレーのワークショップ……やりたい夢が無限大ですね!

古岡さん:いろんな目的を持った人が集まる場所っていいですよね。意識せずとも、異なる文化に触れることができるというか。大人と子どもが自然としゃべっていたり、地域のおじいちゃんと若い人がしゃべっていたり、そんな場づくりができればいいなと思います。

—–年代、性別、地域、価値観、いろんな人が集まり、いろんな意見を交わしながら、お互いを認め尊重し合える場。そんな素敵な場づくりを、きっと古岡さんなら実現してくれると思います。地域おこし協力隊の活動は、まだまだ始まったばかり。子どもたちの未来への一歩をサポートする架け橋のような存在として、これから更なるフィールドでの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

コンピュータクラブハウス加賀

《住所》石川県加賀市大聖寺八間道65番地 かが交流プラザさくら 3階

《開館時間》水曜〜金曜 15:30~20:00 / 土曜 10:00~17:00(年末年始・特別休館日を除く)

《公式サイト》https://computer-clubhouse.jp/